2008 年 59 巻 3-4 号 p. 135-149
東京低地の東縁における2本のボーリングコア堆積物(MZコアとSZコア)の堆積相と放射性炭素年代値を利用し,奥東京湾口における砂嘴堆積物周辺の堆積相の時空間分布を検討した.中・上部更新統の下総層群に不整合に累重する沖積層は,MZコアにおいて,下位より網状河川性堆積物,蛇行河川性堆積物,エスチュアリー性堆積物,砂嘴性堆積物,デルタ性堆積物,そしてSZコアにおいて,デルタ性堆積物から構成されている.MZコアからは13150~3160 cal BP,SZコアからは3930~730 cal BP の放射性炭素年代値が得られた.このうち,MZコアの砂嘴性堆積物の一部を構成するサンドショール堆積物は,奥東京湾口の砂嘴堆積物から北東方向に伸張する細長い砂体を形成している.この砂体は,約4500~3500年前,砂嘴の内陸側に存在した流路において形成されたと考えられる.