2022 年 73 巻 2 号 p. 49-65
東京都世田谷区の武蔵野台地で掘削された上用賀GSSE-1及び駒沢GS-SE-3コアの更新統下総層群東京層の有孔虫・貝形虫化石分析を行った.38試料を処理し18試料から有孔虫化石が産出した.底生有孔虫は18 属40 種が認められた.浮遊性有孔虫は認められなかった.14試料から貝形虫化石が産出した.貝形虫化石は21属41種が認められた.産出した有孔虫と貝形虫化石群集に基づき,東京層下部をⅠ– Ⅵ帯に,東京層上部をⅦ・Ⅷ帯に区分した.その結果,東京層下部のI帯は湾奥部,Ⅱ– Ⅳ帯は湾央部,Ⅴ帯で湾域が縮小し湾央部から湾奥部,Ⅵ帯で湾口部の環境が推定された.東京層上部のⅦ・Ⅷ帯は,海進が進み開放的な湾の湾口部で海岸付近の環境が推定された.