目 的
中国人が集まる地域活動に参加する在留中国人高齢者を対象に異国在住での主観的健康感と健康に関わる経験の調査を通して,彼らの健康に関する思いを明らかにすることである。
方 法
日本の首都圏に在住する中国人高齢者13名を対象に個別に半構造化面接を実施し,質的帰納的に分析した。
結 果
全体分析により,【身体機能や精神状態から主観的に健康の良し悪しを評価している】【安全で便利な社会に住むことを安心だと感じている】【他者の支援を受けることで安心して生活できている】【老いを受け止めて前向きに生きている】【言葉の壁で生活は制限されたが中国人との関わりや趣味を通して気楽に生活している】【家族で互いに支える生活を継続したい】【良い医療サービスをうまく利用できるので安心している】【健康を維持するため中医学に基づき自主的に健康管理をしている】という8つの健康に関する思いが明らかとなった。
結 論
在留中国人高齢者においては,高齢期の発達課題や,中国文化,言葉の壁が彼らの健康に関する思いに影響を与えていることが明らかとなった。言葉による制限や母国文化の継続は彼らの安心感や,健康促進,老後生活の希望に強く影響を及ぼすため,言葉の壁を取り除く環境整備や彼らに馴染んだ文化や健康促進方法に基づいたケアの提供の重要性が示唆された。