本研究の目的は,中高年女性の2型糖尿病とともにあるありようを,食卓の営みの語りから示すことと,食卓の営みを語ることの看護援助への示唆を得ることである。食事療法を営む2名の中高年女性の食卓の語りを質的帰納的に分析し,その人のありようを構成した。
C氏は,【和を保つ中で自分を規制】してきたが,【夫との関係,子どもの独立,仕事上の危機に直面した戸惑い】から,意味を見失い,【料理への自信の無さ】と【もともと器用で無い】ことのエピソードが結びついて対処できない思いになり,【自分の体の変調への無力感】とともに,自己へのネガティヴなエピソードが引き出されて物語を形成し,それが【医療者への信頼と委ね】としての表現に繋がっていた、と理解された。
D氏は,【務めを果たした女性としての有意味感】の一方で,【自己管理への意欲と看護師への期待】があり,その一方で,【家族の軌跡と共にある自己】が表現され,これらは,【つながっている存在への気づき】に立脚している。これを踏まえて,【自分の軌跡を大事に糖尿病と共に生きる】ことを目指していた,と理解された。
これより,2型糖尿病とともにある女性の特徴が,ジェンダー役割の意味の感覚,自己調整の有能感,身体に対する知識,サポート資源の発見と活用にあると考えられ,文化的側面であるジェンダー役割に着目した看護援助の重要性が示唆された。