放送研究と調査
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調査研究ノート 「ヨーロッパ最大の放送機器展」から見る放送の未来
越智 慎司鴨田 浩和
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2019 年 69 巻 1 号 p. 62-69

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抄録
2018年9月にオランダで開かれた “ヨーロッパ最大の放送機器展 ”「IBC 2018」を中心とした取材から、日本の放送の未来への示唆となりうる現状を報告する。IBCでは世界各地の事業者が最新の機器や技術を紹介し、NHKも8K放送に向けた番組制作から受信までのトータルシステムの準備状況などの展示を行った。IBCの50年を超える歴史は放送技術の発展の歴史とも言えるが、近年はテレビに限らずどこでもコンテンツを楽しむためのサービスに関係する事業者のホールも設置され、「放送機器展」という位置づけや放送局の存在感の変化がうかがえる。すでにヨーロッパではテレビをインターネットにつないで視聴するIP化が進んでおり、放送局はIPでの視聴から得られる視聴者のデータを分析し、番組制作などに活用する動きが活発化している。一方、活路を見いだそうとしているライブ配信では、IPの遅延の問題が表面化し、今回のIBCでもその対策がトピックとなった。「Traditional Broadcasters」(伝統的な放送事業者)は、メディア産業の拡大、ネットでコンテンツを配信するOTTサービスをめぐる競争、IP化の進行といった、放送を取り巻く変化に対応し、長年培ってきたコンテンツの制作や開発能力などの「強み」をどう生かしていくか、模索を続けている。
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© 2019 NHK放送文化研究所
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