放送研究と調査
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"9時10分前"は,何時何分?
2020 年「日本語のゆれに関する調査」から(1)
塩田 雄大
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2020 年 70 巻 12 号 p. 36-53

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抄録
「日本語のゆれに関する調査」の結果について報告をおこなう。調査結果から、次のようなことを指摘する。 ▼「9時10分前」というのは「9時10分の数分前」であるという解釈のしかたが、若い年代になるほど多くなっている。 ▼「私情」ということばについて、20代を中心に「私的な事情」のことも指しうるという考え方が多くなっている。 ▼「船は2日おきに来ます」という言い方について、ある日に船が来たら次に来るのはその3日後になるという解釈は少なく、2日後になるという解釈が最も多かった。 ▼「言う」について、「[ユウ]と発音する」と意識している人が多かったが、文字で書かれたとおり「[イウ]と発音する」と意識している人の数も決して少なくなかった。 ▼「ぬかった道」ではなく「ぬかるんだ道」と言うという人が最も多く、この回答に集中する割合は若い年代になるほど顕著に多くなっている。 ▼「足らない」「もの足らない」ではなく「足りない」「もの足りない」と言うという人が、いずれも多い。年代が若くなるほどこの回答に集中する割合が多くなっている。 ▼「はし・はじ」(端)は、全体としては「はし」が最も多いが、若い年代になるほど「はじ」もある程度多くなるような分布になっている。
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© 2020 NHK放送文化研究所
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