旧来のマスメディアに対する信頼が低下しつつある。各報道機関は、記者の取材活動にあたって、行動規範やガイドラインを設けている。しかし、検察幹部と新聞記者らによる「賭けマージャン問題」が明らかになり、その規範が守られていなかったことが表面化した。問題発覚後、朝日新聞社は「朝日新聞記者行動基準」を改定した。 取材源の秘匿は、情報源との信頼性を確保する上で最も重要な理念の1つである。だが、日本においては必ずしも法的な保障がなく、倫理規定の中で、その重要性が唱えられているにすぎない。その一方で、倫理規定において定めた取材対象者との関係性や利益相反について、逸脱するケースがあるというのは、報道機関として自己矛盾と言える。 本稿では、国内の報道機関、海外の報道機関が取材対象との関係性や利益相反について行動規範やガイドラインにどのような基準を設けているかを概観することで、低下しているメディアの信頼をいかに取り戻すかを考える一助になることを目指した。