放送研究と調査
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コロナ国内初感染確認から3年 人々の暮らしや意識はどう変わったのか
「新型コロナウイルス感染症に関する世論調査(第3回)」の結果から①
小林 利行
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2023 年 73 巻 5 号 p. 2-25

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抄録

NHK放送文化研究所が行った新型コロナに関する3回目の世論調査の結果について報告する。本稿では、感染が長期化する中で人々の意識や生活にどのような変化があったかを考察し、特に去年からの行動制限の緩和などの「ウィズコロナ」に向けた政策が、これまでコロナ禍のしわ寄せを受けていた女性や自営業者などにどのような影響を及ぼしたかに注目する。主な結果は以下の通りである。 感染拡大が『不安だ』という人は84%と多いが、時系列では年々減少している。外出回数は過去に比べて増え、特に「散歩や運動」「買い物」の回復が目立つ。一方で、ストレスを感じる人は少しずつ増加している。過去と同じように女性のほうがストレスを感じる人が多く、「ウィズコロナ」に向けた制限緩和による減少はほとんどみられない。ストレスの原因として「収入が減っていること」を挙げた人は、全体では19%だが自営業者では50%となっている。これは過去と同様の数字で、現時点では回復の兆しはうかがえない。 感染収束後でも、マスクを「前よりは多く着ける」と「できるだけ着ける」が合わせて約75%に上った。その理由の90%は「衛生上の理由」だが、「素顔をさらしたくないから」という人も7%いて、18~39歳では男女とも16%いた。コロナの法律上の扱いを引き下げることに『賛成』は約6割で、『反対』を上回った。賛成の理由は「重症化しづらくなっている」などで、反対の理由は「感染しやすくなるから」などだった。

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