放送研究と調査
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生活時間調査における新しいかたちの国際連携
第45回国際生活時間学会報告
伊藤 文
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2024 年 74 巻 3 号 p. 60-67

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抄録
国際生活時間学会(International Association for Time Use Research,IATUR)が2023年11月、東京で開催された。テーマは『持続可能な社会と生活時間調査』。24のセッションがあり、延べ60件あまりの発表が行われた。その中から、「生活時間における男女の差異」、「生活時間データ収集の新しい方法」の2つのセッションの概要を報告する。 「生活時間における男女の差異」では、オックスフォード大学のプロジェクトGenTimeによる国際比較研究の結果が報告された。生活時間調査は、1日24時間の行動記録の収集によって、人びとの生活実態を明らかにする。その特徴に、家事や子育て、介護などといった家庭内での無償労働に費やされる時間を計測できる点がある。こうした無償労働と、仕事(有償労働)の両方を合わせて“労働”とみなすと、研究対象とした欧米とアジアの国・地域では共通して、女性のほうが男性よりも長い時間を“労働”にあてている、と報告された。 「生活時間データ収集の新しい方法」では、イギリスやベルギーの研究機関からそれぞれ、PCやスマートフォンを使って行動記録を入力する方法が紹介された。このうち、ベルギーで開発されたプラットフォーム「MOTUS」は、ベルギー国内だけでなく、国外でも調査に使われているという。 ヨーロッパでは、生活時間調査のデータ収集のシステムを共用する国際連携が始まっている。そうした実践から得られた知見を共有し、より効率的で、時代に合った調査手法を検討することが求められている。
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