放送研究と調査
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74 巻, 3 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 大髙 崇
    2024 年 74 巻 3 号 p. 2-26
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2024/03/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    日本での放送アーカイブの利活用促進につながる示唆を求めて、世界最大規模の放送(視聴覚)アーカイブ機関であるフランスのINA(国立視聴覚研究所)の最新動向や法制度を2回にわたり報告する。前編は、AIによるアーカイブの研究利用や、インターネットでのコンテンツ発信、社会貢献など、近年のINAの活発な展開の模様をリポートする。膨大な視聴覚アーカイブを収集・保存し、専門人材によってメタデータが整備される。法定納入制度のもと、原則すべてのアーカイブが研究目的で閲覧可能とされ、最近ではINAが開発したAIツールを用いた定量分析などにも利活用される。コンテンツ制作やSNSでの発信も盛んで、2022年には大統領選挙の候補者のアーカイブを活用した新たな政治番組が話題を呼んだ。映像販売などでは、顧客の要望に沿う柔軟な対応をすることで、INAのブランドイメージの向上に貢献している。受信料制度の撤廃など、公共放送のあり方が問われる中、アーカイブの専門性を生かして、教育現場や地域社会、海外の国々の課題解決のための貢献にも取り組み、メディアに対する信頼回復に努めている。
  • 東日本大震災に見る"寄り添う"報道の可能性
    渡辺 健策
    2024 年 74 巻 3 号 p. 28-59
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2024/03/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は、2023年4月からNHK放送文化研究所のホームページで連載している「調査報告 ジャーナリストたちの現場から」の第4回(前編)、第5回(後編)に一部加筆・修正を加えて再録したものです。 連載では、いわゆる“オールドメディア”とされるテレビや新聞を中心としたジャーナリズムに向けられている、受け手側(読者・視聴者)の不信を意識したうえで、それに現場のジャーナリストたちがどのように向き合っているかを記録しています。 今回は、1年あまり前に亡くなったNHK釜石支局のカメラマンについて取り上げます。東日本大震災の被災地で、彼はどのように地域の人々から厚い信頼を得て、それに基づく番組やニュースリポートの発信をしてきたのか。取材相手や同僚らの証言を積み重ねることで、その過程や特徴を掘り起こしていく手法をとりました。そこから見えてきたのは、地域の一員として人々とともに歩み、同じ目線の「当事者」として向き合うことの大切さでした。 それは同時に、私たちマスメディアの取材者が雲の上から見たような“俯瞰した目線”で、型にはめて物事を伝えることの危うさを示唆しているようにも思います。メディアに対する受け手の不信が募っている今、地域の人々に同じ目線の「当事者」として向き合うことの重要性にあらためて光を当てることで、ジャーナリズムに対する信頼をつなぎとめる方策を考える上での参考になれば幸いです。 本稿を執筆中の2024年1月1日には、最大震度7の能登半島地震が発生し、東日本大震災以来の大津波が街を襲い、家屋倒壊や土砂崩落、火災などで多くの生命が失われました。また、広い範囲で大勢の方が住む家を失い、厳しい寒さのなかで避難生活を余儀なくされています。今後、現地での取材活動を続けていく中で、被災地の人々にどう向き合い、何を伝えていくべきなのか。東北の被災地での経験や教訓が少しでもいかされればと考えています。
  • 第45回国際生活時間学会報告
    伊藤 文
    2024 年 74 巻 3 号 p. 60-67
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2024/03/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    国際生活時間学会(International Association for Time Use Research,IATUR)が2023年11月、東京で開催された。テーマは『持続可能な社会と生活時間調査』。24のセッションがあり、延べ60件あまりの発表が行われた。その中から、「生活時間における男女の差異」、「生活時間データ収集の新しい方法」の2つのセッションの概要を報告する。 「生活時間における男女の差異」では、オックスフォード大学のプロジェクトGenTimeによる国際比較研究の結果が報告された。生活時間調査は、1日24時間の行動記録の収集によって、人びとの生活実態を明らかにする。その特徴に、家事や子育て、介護などといった家庭内での無償労働に費やされる時間を計測できる点がある。こうした無償労働と、仕事(有償労働)の両方を合わせて“労働”とみなすと、研究対象とした欧米とアジアの国・地域では共通して、女性のほうが男性よりも長い時間を“労働”にあてている、と報告された。 「生活時間データ収集の新しい方法」では、イギリスやベルギーの研究機関からそれぞれ、PCやスマートフォンを使って行動記録を入力する方法が紹介された。このうち、ベルギーで開発されたプラットフォーム「MOTUS」は、ベルギー国内だけでなく、国外でも調査に使われているという。 ヨーロッパでは、生活時間調査のデータ収集のシステムを共用する国際連携が始まっている。そうした実践から得られた知見を共有し、より効率的で、時代に合った調査手法を検討することが求められている。
  • 地域発の『街頭録音』の記録
    島田 匠子
    2024 年 74 巻 3 号 p. 68-69
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2024/03/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
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