放送研究と調査
Online ISSN : 2433-5622
Print ISSN : 0288-0008
ISSN-L : 0288-0008
メディアは社会の多様性を反映しているか 調査報告(2023年度)テレビ番組におけるダイバーシティー
青木 紀美子小笠原 晶子
著者情報
研究報告書・技術報告書 フリー

2025 年 75 巻 3 号 p. 22-53

詳細
抄録
多様性,公平性,包摂性の向上が重視される中,メディアは社会の多様性を反映することができているのか。
NHK放送文化研究所では2021・22年度に続き,2023年度もテレビ番組に出演・登場する人物の多様性について,NHKと民放キー5局の番組を対象に2つの調査を行った。メタデータに基づく番組全般の出演者のジェンダーバランスの分析(6月の1週間)と,コーディング調査による夜の全国向けニュース報道番組の登場人物(発言した,もしくは発言引用があった人物)のジェンダーバランス,障害の有無,人種的多様性,取材地の分布などの分析(6月と11月の月~金,計10日間)である。
調査の結果,ジェンダーバランスは過去2回の調査とほぼ変わらず,女性と男性の割合が番組全般では4対6,夜のニュース報道番組では3対7だった。夜のニュース報道番組では,女性のレギュラー出演者が3回の調査で初めて男性を上回ったが,年層別にみると女性は男性に比べて若い年層に集中していた。テレビの世界では,「中高年の男性と若い女性」の構図が続いている。また,ニュースに登場する人物を職業・肩書別にみると「政治家」は男性が女性の16倍超,「財界人,企業経営者,役員」では約30倍と偏りが大きく,女性が男性より多かったのは「学生,生徒,児童」や「親,家族」だった。男性が肩書や権威あるニュースの当事者として登場することが多いのに対し,女性は名前も肩書もない,いわば名もなき市民という立場で登場するほうが多いという偏りも2021・22年度と変わらなかった。
ニュースにおける障害「あり」の登場人物の割合は,2022年度と同じ0.3%で総人口に占める障害者の割合を大きく下回った。取材地は東京への一極集中が2023年度も顕著だった。取材地と人種的多様性をみると,やはり2022年度と同様に,日本に近いアジア地域や日本に多く暮らすアジア系の人の声よりも欧米の動きやその要人などの声がより多く反映されていた。
著者関連情報
© 2025 NHK放送文化研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top