抄録
NHKの子ども向けテレビ番組は1953年、テレビ放送の開始とともに始まった。1956年には学校放送番組の一環として「幼稚園・保育所向け番組」が始まり、1959年には「家庭視聴を想定した番組(以下、在宅向け幼児番組)」の『おかあさんといっしょ』が始まった。在宅向け幼児番組は長らく『おかあさんといっしょ』のみだったが、1990年に教育テレビで「ゾーン編成」が採用され、〈母と子のテレビタイム〉が新設されると、新しい番組が次々と誕生した。
NHKでは、番組を制作した個人名が強調されることは少なく、とりわけ放送尺の短い子ども番組では制作者名がクレジットされない。しかし、1990年以降に開発された多くの子ども番組には、中村哲志という制作者が深く関わっていた。
中村はCGなどの新しい技術をいち早く取り入れ、それまでの子ども番組にはなかったジャンルを次々と開拓していった。その結果、1990年には夕方2時間だった当該ゾーンは、2026年4月には朝と夕方を合わせて5時間以上にまで拡大している。