分析化学
Print ISSN : 0525-1931
講演論文
最近の自動車における課題と分析技術
近藤 拓也葛谷 孝史
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 50 巻 12 号 p. 799-805

詳細
抄録

トヨタにおける分析技術の歴史は古く, 1934年には化学実験室を設けていた. その当時, 分析の役割は鉄鋼材料の種別判定が主であった. その後の自動車需要の急速な拡大に対応するための量産技術の開発, 大気汚染や石油危機に端を発する排気ガス対策技術や省エネルギー技術の開発において, 分析は不可欠な技術となった. その具体例として, NOx吸蔵還元型触媒, 高性能ニッケル水素電池, 水素吸蔵合金の開発における分析技術の貢献状況を示す. 21世紀の今, エネルギー・環境技術, 安全技術, 情報技術 (IT) といった課題に自動車は直面しており, これらを克服するため, 分析技術への期待は更に高くなっている. 今後注目すべき分析技術としては, (1) 部品の使用環境下での材料挙動を解析するin-situ 分析技術, (2) 材料の分子/原子構造と分析イメージとの関係解釈を可能とする分析技術と計算機化学 (CAE) の融合, 更に (3) 直接分析できないと考えられていた水素や水の挙動をとらえる分析技術などがある.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry 2001
前の記事 次の記事
feedback
Top