分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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産業廃棄物焼却飛灰標準試料の作製と評価
岩田 聖子皆本 和亮藤森 英治千葉 光一原口 紘き
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2001 年 50 巻 12 号 p. 837-844

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抄録

多元素含有量測定用の産業廃棄物焼却飛灰 (フライアッシュ) 標準試料の作製に関する予備実験を行った. 標準試料の作製には, 産業廃棄物焼却炉の電気集じん機から採取した電気集じん灰を用いた. 約2kgの原試料を, ふるい分け, 混合, 均一化し, 最終的に粒径133μm以下の飛灰試料について約10gを封入した標準試料を145本作製した. 作製した標準試料について, 主成分元素 (Na, Zn, P, Mg, Si, Ti, Ca, Al, Fe) の粒径別濃度分布の測定, 及び均一性試験を行い, TiとAlで均一性にやや問題があるものの, 産業廃棄物焼却飛灰の分析並びに特性評価のための標準試料として使用できることが判明した. 更に, 作製した標準試料中の主成分元素から超微量成分元素の約50元素について定量分析を行い, その元素存在度について, 産業廃棄物焼却残留物, 都市ごみ焼却灰標準物質, 石炭焼却飛灰標準物質と比較を行った. 産業廃棄物焼却飛灰標準試料においては, ほかの焼却灰試料と比較して特に工業的利用度の高い親銅元素が1けたから2けた高く濃縮されていた. 本標準試料は, 産業廃棄物焼却飛灰の分析法並びに溶出試験法の標準化のほかに, 焼却灰のキャラクタリゼーション, 無害化処理法の確立, 再資源化技術の開発などにも利用できると考えられる.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2001
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