分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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溶媒抽出/誘導結合プラズマ発光分析法による貝の硬組織中マンガン, 鉄, 銅及び亜鉛の定量
福井 博章藤野 治
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2002 年 51 巻 10 号 p. 891-898

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抄録

溶媒抽出/ICP-AESにより貝の硬組織中微量マンガン, 鉄, 銅及び亜鉛の定量法について検討した. これらの微量元素に対して, 貝殻や真珠中の多量成分カルシウムは約104~105倍と大過剰含有されているため, 測定時における影響について検討した結果, いずれの微量元素も正負の干渉を受けた. したがって, カルシウムとこれら微量元素とを測定前に分離する必要があり, ここでは溶媒抽出法を採用し, キレート試薬にはDDTCを, また抽出有機溶媒にはエステル系を用いて, これら元素の抽出挙動を詳細に検討した. その結果, pH6でクエン酸塩共存下において, いずれの元素も酢酸ヘキシルに定量的に抽出され, 逆にカルシウムは全く抽出されなかった. 本溶媒抽出法を前処理法として, 実試料貝殻や真珠中のこれら元素の定量を試みた結果, 優れた分析方法であり, また淡水産貝殻や真珠において, マンガンが高含量値であることを示すなど, 種々興味ある結果が得られた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2002
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