抄録
フローインジェクション分析(FIA)法による河川水や土壌などの環境試料中のサブppmからppbレベルの鉛及びカドミウムの迅速,簡便な同時定量法を提案した.共存イオンからの鉛とカドミウムの分離,及びこれらの相互分離と濃縮のためにリンゴ酸塩を溶離液とする陽イオン交換分離を導入し,5,10,15,20-tetrakis(N-methyl-pyridynium-4yl)-21H,23H-porphine,tetrakis(p-toluenesulfonate)(TMPyP)を用いた吸光度検出と連続流れシステムでインライン直結した.鉛及びカドミウムとTMPyPの錯体生成反応,及び分散などの流れに関係する諸因子について詳細な検討を行い,最適条件とマニフォールドを設定し,試薬の節約と廃液量を最小限に抑えるためにセミミクロサイズのシステムを構築した.検量線は2.5 m(内径0.5 mm)のサンプルループを用いた場合,鉛及びカドミウム共に0~0.1 mg/lの範囲で直線となった.0.03 mg/lの鉛及びカドミウムを繰り返し分析した変動係数(n=5)はそれぞれ0.6% 及び1.2% であり,定量下限はそれぞれ0.001 mg/l及び0.002 mg/lであった.分析時間は約10分である.種々の土壌からの溶出液から調製した土壌合成試料及び日本分析化学会の河川水標準試料(JAC 0032)の本FIA法による分析結果は誘導結合プラズマ原子発光分析法による結果,又は認証値とよく一致した.