2009 年 58 巻 10 号 p. 881-886
犯罪で使用された粘着テープの入手経路や遺留物と被疑者との結びつきを明らかにするために,ポリ塩化ビニル製粘着テープの含有添加剤をガスクロマトグラフィー/質量分析装置で測定した.検出された微量添加剤成分の種類と相対的な含有割合から,あらかじめ設定した3段階の手順に従って試料を識別した.最初に質量電荷比(m/z)149の質量クロマトグラムでフタル酸ジイソノニルの有無を確認した.次いで,フタル酸エステル以外の5成分の有無を確認し,最後に保持時間2から9分まで間のm/z 149の質量クロマトグラム上に観察される8成分の相対的な強度パターンを比較した.この手法により灰色,透明及び青色の粘着テープ間の識別は可能であることが示され,その他の色の粘着テープについてもある程度識別可能であることが判明した.