2011 年 60 巻 10 号 p. 807-811
カーボンナノチューブ(CNTs)にアモルファスホウ素を添加し,プラズマ焼結法で固化することで,炭化ホウ素(B4C)を析出させて強化したCNTs中の未反応アモルファスホウ素と析出したB4Cの化学的分離定量法を検討した.B4Cは無機酸には溶解しないが,アモルファスホウ素は溶解することから,析出強化したCNTsを7 N硝酸で処理することでアモルファスホウ素を溶解し,析出したB4Cは未溶解残さとしてろ過分離した.ろ過分離したB4Cは,ホウ素の揮散を防止するために水酸化カルシウム水溶液で湿らせた後に灰化し,炭酸ナトリウムで融解することで溶解した.ろ液および未溶解残さ中のホウ素量をICP-発光分光分析法でそれぞれ定量して,アモルファスホウ素とB4Cに相当するホウ素濃度を求めた.