分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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NOx酸化物質(NOz)計測手法の開発と山岳地域における実大気への応用
和田 龍一定永 靖宗加藤 俊吾勝見 尚也大河内 博岩本 洋子三浦 和彦小林 拓鴨川 仁松本 淳米村 正一郎松見 豊梶野 瑞王畠山 史郎
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2018 年 67 巻 6 号 p. 333-340

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抄録

レーザー分光計測装置と化学発光分析装置を組み合わせ,NOxの酸化物質であるNOzを計測する分析手法を開発した.本研究では,化学干渉がなく,NO2固有の吸収波長を用いることで濃度を正確に計測可能なレーザー分光法を用いてNO2濃度を計測し,化学発光法により得たNOy濃度とNO濃度からNOz濃度を算出した.開発した分析手法を用いて,山岳地域である富士山頂にて2017年8月20日から22日にかけて,大気計測を行った.NOz濃度の平均値は0.28±0.26 ppbであった.NOz濃度が高い期間は中国韓国由来の気塊であり,濃度が低い期間は,海洋由来の気塊であったと推定した.NOz濃度とO3濃度に相関がみられ,相関プロットの近似直線の傾きからオゾン生成効率(OPE)を得た.山岳地域で観測したOPEは中国韓国由来の気塊では3〜10,海洋由来の気塊では18であることが分かった.山岳地域によるNOz濃度の分析手法を確立し,実大気の計測に応用した.

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© 2018 The Japan Society for Analytical Chemistry
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