分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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逆相高速液体クロマトグラフィーによるフェニルエタンチオラート保護金銀38原子合金クラスターの原子精度での精密分離
橋本 彩加新堀 佳紀根岸 雄一
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2019 年 68 巻 10 号 p. 769-776

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抄録

合金化は,金属クラスターにおける新たな物性・機能の発現を可能にするため,近年では,金属クラスター分野においてホットトピックスの一つとなっている.こうした合金化における複合・相乗効果を深く理解するためには,原子精度の精密さで合成された合金クラスターを対象に研究を行うことが不可欠となるが,現状では,原子精度では制御できない合金クラスターが数多く残されており,その代表例が,金(Au)と銀(Ag)からなる合金クラスターである.本研究では,フェニルエタンチオラート(2-phenylethanethiolate,SC2H4Ph)を配位子に含む金銀38原子([Au38−xAgx(SC2H4Ph)24]0)合金クラスターを,逆相高速液体クロマトグラフィーにより,原子精度にて分離する方法の確立に成功した.こうした分離の実現により,[Au38−xAgx(SC2H4Ph)24]0合金クラスターにおける化学組成と電子構造の相関についても原子精度にて明らかにすることに成功した.また,本分離法の活用により,生成する[Au38−xAgx(SC2H4Ph)24]0合金クラスターの幾何・電子構造は合成条件に依存して異なっていることも明らかにした.

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© 2019 The Japan Society for Analytical Chemistry
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