分析化学
Print ISSN : 0525-1931
総合論文
ナノスケール光貯蔵・局在化システムの開発と分析科学への展開
髙橋 幸奈
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2019 年 68 巻 10 号 p. 777-782

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抄録

金属や半導体からなるナノ材料を用いて,光エネルギーをナノメートルレベルで制御するシステムの開発を行った.光エネルギーを電気化学的に貯蔵することで,消灯後も有害有機物の検出や酸化除去が可能な酸化エネルギー貯蔵型光触媒を開発した.また,過酷な環境でも高感度な分光センシングを可能にするために,局在表面プラズモン共鳴を示す金属ナノ粒子の安定性を向上させる技術を確立した.さらに,金属ナノ粒子が局在表面プラズモン共鳴に基づいて示す光アンテナ効果を最大限に活用するために,効果的な色素と金属ナノ粒子の配置を調べてこれを実現する手法の開発を行った.これらの技術は,光エネルギーの高効率な利用を可能にする技術にとどまらず,分光分析科学の発展に大きく貢献するものである.本論文では著者がこれまでに取り組んだこれらの研究内容を紹介する.

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© 2019 The Japan Society for Analytical Chemistry
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