分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
複数流路を有するフロー型イオンイメージセンサの開発とELISAへの応用
吉見 立也奥野 海良人佐藤 大祐滝川 修服部 敏明澤田 和明
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2019 年 68 巻 10 号 p. 783-791

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抄録

著者らは,これまで多数の電位差センシング素子を二次元に配置した半導体センサである「二次元電気化学イオンセンサアレイ」を開発し,主に二次元の動的イオンイメージ画像の取得を行ってきた.本研究では,本イオンセンサアレイのフロー系への応用を検討するため,128 × 128個のイオンセンサ素子を配置したセンサ感応面上に三流路を形成して連続的に溶液を供給するフロー系システムを開発した.まず,本システムを組み込んだイオンセンサアレイを使用して,3種のpH標準液の計測を行ったところ,pH 4〜pH 9のpH変化に順当に応答した.次に応用例として,アルツハイマー病の病理学的特徴の一つである老人斑の主要構成成分であるアミロイドßの検出に適用した.標識酵素にアセチルコリンエステラーゼを利用するサンドイッチELISA法を採用し,基質のアセチルコリンの加水分解で生じる酢酸によるpH変化をマニュアル版三流路システムで検出することで,濃度0,300,1000 pmol L−1のアミロイドßを同時に計測することに成功した.本研究において,イオンセンサアレイがフロー系システムを備えることにより,バイオセンサとしての創薬応用や医療応用が可能となることを示した.

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© 2019 The Japan Society for Analytical Chemistry
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