分析化学
Print ISSN : 0525-1931
総合論文
ナノ構造体を用いる光ピンセットの開発
東海林 竜也
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2019 年 68 巻 5 号 p. 315-324

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抄録

光の力学作用である「光圧」を利用し,溶液中の赤血球や細菌などのマイクロ微粒子を操作する光ピンセット技術が,2018年ノーベル物理学賞の研究テーマの一つであることは記憶に新しい.この手法を用いればナノ粒子,さらには分子をも捕捉できると期待されるが,その実現は極めて困難である.これに対し,著者らはナノ構造の電場増強効果を利用した光ピンセット技術を駆使し,分析化学への展開を進めている.本稿では大きく三つのトピックについて述べる.まず,集光レーザー型光ピンセットを用いた,相分離した温度応答性高分子液滴中の高分子濃度決定法について述べる.次に,プラズモンナノ構造体の電場増強効果を用いたプラズモン光ピンセットについて紹介し,本手法を用いる水溶液中に微量に溶解した有機分子の抽出・検出法について述べる.最後に,著者らが開発した半導体ナノ構造を用いた新奇光ピンセットについて述べる.

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© 2019 The Japan Society for Analytical Chemistry
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