分析化学
Print ISSN : 0525-1931
総合論文
親水基含有固相抽出剤の開発と水溶性化合物に対する捕捉特性
村上 博哉三木 雄太井上 嘉則手嶋 紀雄
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2021 年 70 巻 1.2 号 p. 19-29

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抄録

固相抽出法は高範囲な化合物の抽出や精製に多用されているが,水試料中の水溶性化合物の抽出においては回収率,精製度,再現性等の点で期待する結果が得られないことも多い.この対策として,疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合体である親水性─親油性バランス型固相抽出剤が開発されている.疎水性樹脂への親水基の導入により濡(ぬ)れ性が改善され,水溶性化合物の抽出効率が向上するとされる.固相抽出法における抽出率や精製度は,固相抽出剤の合成法,化学構造,細孔物性,残存官能基等の化学的及び物理的物性に大きく依存する.著者らは,水溶性化合物の捕捉特性に対する固相抽出剤の化学的及び物理的特性の影響を把握するため,異なる組成及び細孔特性を有する固相抽出剤を合成した.本稿では,著者らが開発した逆相モード及び親水性相互作用モード用の親水基含有固相抽出剤の水溶性化合物に対する捕捉特性について概説する.

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© 2021 The Japan Society for Analytical Chemistry
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