2021 年 70 巻 6 号 p. 373-378
電気泳動堆積法(EPD)を用いて微小Au櫛型(くしがた)電極上に半導体膜を形成し,NO2ガスに対する応答特性を評価した.検知材料にはSmFeO3を用い,シアノ錯体を500と900℃ で熱分解することで調製した.SmFeO3粒子の懸濁液の液滴中で電気泳動させることにより,Au櫛型電極上に選択的に検知膜を形成することができた.NO2に対する応答は,作動温度の低下とともに増加し,250℃ で最大となった.また,高表面積が得られた500℃ 熱分解SmFeO3を用いた素子において高い応答性が得られた.特に,500℃ 熱分解SmFeO3の堆積膜を600℃ で焼結した場合,10 ppm NO2に対してS=96の非常に高い応答を示し,かつ0.2 ppmの低濃度NO2に対しても有意な感度が得られることが分かった.