分析化学
Print ISSN : 0525-1931
総合論文
プラスチックのケミカルリサイクルプロセス開発への熱分解ガスクロマトグラフィーの応用
熊谷 将吾吉岡 敏明
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 71 巻 10.11 号 p. 549-561

詳細
抄録

熱分解反応は熱によりさまざまな化学結合を切断するため,多種多様な高分子を低分子に分解することができる.よって,材料科学,資源利用化学,環境学,食品科学,法科学,芸術学,考古学等,さまざまな分野で応用されている化学反応である.熱分解ガスクロマトグラフィー(Py-GC)はマイクログラムオーダーの微量試料の熱分解から熱分解生成物のガスクロマトグラフによる分析まで,一気通貫で行える分析手法であり,先述の広範な分野で活用されている.著者らは,廃プラスチック等の高分子を熱分解法により化学原料に転換する,ケミカルリサイクルプロセスの開発に取り組んでおり,そのプロセス開発にPy-GCを応用する研究を行っている.本稿では,ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリカーボネート(PC)及びポリウレタンエラストマー(PUE)の熱分解プロセス開発において,Py-GCの比較的新しいシステムである「タンデム μ-リアクター─GC(TR-GC)システム」を応用した研究を取りまとめ体系化する.

著者関連情報
© 2022 The Japan Society for Analytical Chemistry
前の記事 次の記事
feedback
Top