2023 年 72 巻 10.11 号 p. 441-448
高レベル放射性廃棄物(HLW)等の処分時の安全評価対象核種のひとつであるZr-93のICP–MS定量分析をより迅速化する手法として,Zrを選択的に固相抽出した試料をそのままレーザーアブレーション(LA)してICP–MSで定量分析する技術開発を行った.DGAレジンにZrのみを吸着させる新規Zr固体試料調製法により,試料調製時間を従来よりも大幅に短縮した.Zr固体試料をLA–ICP–MS測定するための最適なレーザー照射条件を検討した.開発した手法をHLW模擬試料中のZr同位体定量に適用した結果,IDMSにより求めた同位体定量値は試料の元素濃度から求めた含有量と不確かさの範囲で一致したため,実際の放射性廃棄物試料中のZr-93についても同様の手順で定量できる見込みを得た.