分析化学
Print ISSN : 0525-1931
螢光X線分析法による低合金鋼中のマンガンの定量
桃木 弘三
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1961 年 10 巻 1 号 p. 34-40

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抄録
螢光X線分析法による特殊鋼中のMnの正確な定量は常に共存するCrの影響をうけるためおこなわれていない.これはMn Kα線にCr Kβ線がきわめて近接しており,通常の測定条件では両者はほとんど重なり分離されないからである.このような場合は強度測定をおこなうまでもなく全くMn の定量を諦めてしまうのが普通であった.
これに対して筆者は Mn 0.2~1%,Cr 0~7%の低合金鋼において,重なったままのMn Kα ピーク位置強度をとってMnの定量をおこなうことを試みた.すなわち,適当な試料を用いてCr%に応じた補正強度を求めてMn強度から差引けばCr:0%のMn検量線が得られ,Crの影響をうけないMnの正確な定量をおこない得ることを見出し,各種低合金鋼試料中のMnの定量にみごとな成果を収めた.さらにCr Kα線とMn Kα線の測定強度から簡単にMnの%を見出すノモグラフを作成した.
このような方法は筆者によってさらにCrの高い13 Cr鋼その他の特殊鋼に拡張されつつあるが,今回は低合金鋼に関する部分のみを報告する.
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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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