分析化学
Print ISSN : 0525-1931
アセトン-水単一相中でのジエチルジチオカルバミン酸錯塩を利用するテルルの迅速光度定量法
蟇目 清一郎吉田 仁志山本 雅弘
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1961 年 10 巻 2 号 p. 112-115

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抄録

アセトン-水単一相中でのテルル-ジエチルジチオカルバミン酸錯塩の呈色を利用するテルルの迅速光度定量法について検討した.この錯塩はアセトン60%(v/v)溶液中で424mμ付近に吸収極大を示し,pH6.3~9.0の間では一定の吸光度を示した.呈色は光に対して不安定であるが,着色ガラス器を使用し,紫外線をさけて呈色後ただちに測定することにより,簡便にしかも再現性よくテルルを定量することができる.1~20ppmのテルル量について,420mμのフィルターを用いて吸光度を測定して得られた検量線は良好な直線性を示した.この波長での分子吸光係数は約3,200であり,感度は0.04γTe/cm2である.本法では鉄(III),銅(II)およびビスマスの存在は妨害となる.しかし,EDTAが共存するとき,8PPmのテルルに対して40PPmのコバルト,水銀(II),ニッケル,タングステン(VI),200PPmのアルミニウム,バリウムおよび400~1200PPmのヒ素(III),カルシウム,カドミウム,マグネシウム,マンガン(II),モリブデン(VI),鉛,セレン(IV),亜鉛の共存は影響がなかった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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