分析化学
Print ISSN : 0525-1931
ジフェニルアミンのポーラログラフによる定量
宇佐美 四郎
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1961 年 10 巻 2 号 p. 137-141

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抄録

ジフェニルアミンと酢酸第二水銀との反応により生成する4-アセトキシ・メルクリック・ジフェニルアミンが還元波をあたえることを利用してジフェニルアミンを簡易に定量する方法を見出した.すなわち,10vol%酢酸含有メタノール溶液中に3~4mMの酢酸第二水銀およびその濃度を酢酸第二水銀に対して0.6以下のモル比にしたジフェニルアミンを加え,50℃恒温槽中で7.5時間反応することにより定量的にジフェニルアミンの水銀付加化合物を生成する.この水銀付加化合物は0.1M硝酸ナトリウムを支持塩とし,トリトンX-100を極大抑制剤とするポーラログラムは-0.3Vおよび-0.85V付近に2段波を生ずる.このポーラログラムの第1波,第2波の波高は,ジフェニルアミン濃度に正比例する.第2波は第1波より安定であり,定量には第2波を用いる.この第2波の変動係数は1.1~1.8%であった.またジフェニルアミンと酢酸第二水銀との反応時間は酢酸-メタノール溶液中の酢酸濃度を減少させること,およびジフェニルアミンのモル比を小さくすることにより適宜短縮することができる.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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