1964 年 13 巻 11 号 p. 1131-1136
スズの電解精製において,スズアノード中のスズ,鉛および銅の分析が必要で,従来容量法ならびにポーラログラフ法を利用してきたが,ケイ光X線分析方法により,主成分のスズならびに不純物の鉛,銅の同時定量を行ない,分析の迅速化をはかることを検討した.試料は溶体から得た板状試料,鋳込み試料,細片を圧縮したものなどを用いて実験した.分析条件にはスズ,鉛,銅相互の影響を避け,また試料中に含まれるそのほかの不純分元素に影響されない条件を選ぶことができた.工程管理上満足な迅速性と精度のある方法を得,日常分析に利用し,従来法に比較して分析能率を向上することができた.