1964 年 13 巻 11 号 p. 1126-1131
硫酸系および塩酸系における亜鉛の黄血塩電位差滴定に関する基礎的検討を実験計画法的に行なった.
(1)塩酸系:塩酸系も適用可能で,塩濃度が0.4N以上では酸濃度が支配的になる.最適酸濃度範囲は0.1~0.2Nである.
(2)硫酸系:酸の塩に対する濃度比が支配的で,その規定濃度比は0.6以上でなければならない.もし,適当に高い酸濃度を与えておくならば,塩濃度の影響は無視することができ,この点で硫酸系ははるかに塩酸系よりすぐれている.最適酸濃度範囲は0.2~1.5Nの程度である.
(3)電位差法とJIS法の検量線について,統計的な観点から若干の検討を行なったが,JIS法には電位差法にほぼ匹敵する適用性があることを確認した.