1967 年 16 巻 10 号 p. 1018-1026
パラジウム(II)はクロムアズロールS(以下CASと略記)と反応し,青色の水溶性錯体を生成し,極大吸収波長610mμにおいて吸光度は塩酸,酢酸ナトリウム緩衝液により,pH5.8~6.7で一定値を示す.3.54×10-4MCAS,0.16M硝酸カリウム,3×10-2M酢酸ナトリウムの存在でpH6.1において,パラジウム0.116~2.8ppmにわたりベールの法則に従う.検量線から得た分子吸光係数は4.34×104である.この条件のもとでパラジウムはCASとモル比1:2の錯体を生成し,2.66×10-4MCAS以下の範囲では1:1の錯体を生成する.また,過剰の硝酸カリウムやゼフィラミンなど強塩基性陽イオンの存在は,錯体の安定度を増加し,定量感度を高くする.特に,5.44×10-3Mゼフィラミン,8.85×10-5MCAS,3×10-2M酢酸ナトリウムの存在でpH6.1,635mμにおいて,検量線から得た分子吸光係数は1.17×105である.