分析化学
Print ISSN : 0525-1931
クプロインー銅(I)-カリボール抽出法によるカリウムの間接吸光光度定量法
金属キレート陽イオンによる陰イオンの溶媒抽出吸光光度定量法(第24報)
山本 勇麓岡本 信子峠 暎二
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1967 年 16 巻 10 号 p. 1034-1039

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抄録

水溶液中に微量のテトラフェニルホウ素酸ナトリウム(カリボール)が存在する場合,クプロイン-銅(I)を含むクロロホルム溶液と振り混ぜると,カリボールの陰イオンが有機相へ抽出されることを見いだした.このとき,有機相の吸光度が水相中のカリボール濃度に比例するので,カリボールを比色定量するための諸条件を検討した.その結果,カリボール8×10-6~4×10-5Mの範囲でベールの法則に従うこと,およびpH3.8~5.0の範囲で一定の抽出が得られることがわかった.この原理をカリウムの間接的な比色定量法に適用した.すなわち,カリウム20~200μgの範囲で検量線が得られた.
さらにこの方法を海水あるいはタバコ中のカリウムの定量に適用した.試料溶液に過剰のカリボールを加え,過剰のカリボールをクプロイン-銅(I)キレートによりクロロホルムに抽出して,550mμにおける吸光度を測定する.海水のように塩素イオンを多量に含む試料は陰イオン交換樹脂により前処理したのち本法を適用してよい結果を得た.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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