1967 年 16 巻 10 号 p. 1040-1045
示差熱分析装置を用いて,焼石こう(硫酸カルシウム半水化物)中の未反応石こう(硫酸カルシウム2水化物)の定量分析について,種々検討を行なった.
通常石こう結晶水の脱離反応は
CaSO4・2H2O→CaSO4・1/2H2O+3/2H2O
(石こう) (焼石こう)
CaSO4・1/2H2O→CaSO4+1/2H2O
の二段階で行なわれるものと考えられ,ある一定の測定条件の示差熱分析では,ほぼ結晶水の脱離量に対応した二つの吸熱ピークとして検出できる.この二つの吸熱ピークについて,それぞれのピーク面積およびピーク高さと,未反応石こう含有量との関係を求め,絶対法および内部標準法により,その定量性の検討を行なった.
一定のサンプリング測定条件による示差熱分析では,分析所要時間は1時間以内で広い範囲にわたり定量が可能である.