1967 年 16 巻 10 号 p. 1090-1098
放射能の科学の生みの親,キュリー夫人の名はあまりにも有名であり,その生がい(涯)についてはすてに多くの人々によって詳しく物語られている.いまさらという感がないでもないが,本年があたかも夫人の生誕100年にあたる機縁にかんがみ,放射能分析の歴史の最初に夫人のポロニウムおよびラジウムの発見に関する業績を取り上げてみた.キュリー夫人は放射性物質を化学的に取り扱った最初の人であり,ポロニウムおよびラジウムの研究においてはじめて放射能分析の技術を駆使して,その基を開いたのであった.