1968 年 17 巻 11 号 p. 1387-1395
試料にX線を照射し, X線励起によって生じたルミネセンスを測定する装置を,市販のけい光X線分析装置の一部と分光光度計を用いて組み立てた. X線は反射,屈折をしないので発光スペクトルを測定するうえになんら影響を与えず,装置の組み立ては容易である. X線照射によるレンズの変色は,装置を1年間使用したあとでも認められなかった.
装置条件について若干の検討を行ない,希土類元素を含む酸化イットリウムを対象にしてルミネセンススペクトルを観測したところ,高感度の測定ができた.このことは,本装置が微量の希土類元素定量の新しい有力な手段となることを示しており,今後の各種希土類元素定量への応用が期待される.