分析化学
Print ISSN : 0525-1931
ミセル界面での錯形成を利用するエリオクロムシアニンRによるベリリウムの吸光光度定量
小原 人司石橋 信彦深町 和美
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1968 年 17 巻 11 号 p. 1400-1406

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抄録

ミセル界面での錯形成反応を利用し,エリオクロムシアニンRによるベリリウムの吸光光度定量法を検討した.ベリリウムとエリオクロムシアニンRとの反応に対する第4級アンモニウム塩の効果について調べた結果,ミセル界面では配位子の水酸基の酸解離が容易になり,高次錯体(ベリリウム:配位子=1:2)の生成および生成錯体の吸収極大波長がレッドシフトすることを認めた.ミセル形成濃度以上の第4級アンモニウム塩が共存する場合,生成錯体は595mμに吸収極大波長を有し, pH 6.7~7.2で一定最大の吸光度値を示す.ベリリウム濃度0.018~0.055μg/mlでは錯体の吸光度値とベリリウム濃度との間に直線関係が成立するがこれより低濃度領域ではわん曲する.定量感度は非常に高く,これまでのベリリウム定量試薬のうちで最高である.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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