分析化学
Print ISSN : 0525-1931
石油中の多環芳香族炭化水素の分析
松下 秀鶴江角 凱夫鈴木 彰
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1972 年 21 巻 3 号 p. 331-337

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抄録

石油に含まれる多環芳香族炭化水素の分析法について研究した.その結果,液相分配法による多環芳香族炭化水素の抽出,抽出物の二層二次元薄層クロマトグラフィーによる分離,分離各スポットの抽出液のけい光スペクトル,励起スペクトルによる同定,定量からなる分析法を見いだした.
この方法により,とう(釜)底油,C重油,A重油および燈油3種類を分析した結果,分光法により多環芳香族炭化水素11種を同定した.そのうち,発がん性の疑いのある物質が7種存在することが確認された.また,強力な発がん性物質であるベンツ(a)ピレン含量を調べた結果,とう底油は310μg/kg,C重油は5.200μg/kg,A重油は71μg/l,燈油は0.067μg/l,0.15μg/lおよび0.19μg/lのベンツ(a)ピレンを含むことが判明した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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