分析化学
Print ISSN : 0525-1931
二段階フロークーロメトリーによる微量シュウ酸イオンの迅速定量
木原 壮林山本 忠史本島 健次藤永 太一郎
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1972 年 21 巻 4 号 p. 496-502

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抄録

繊維状炭素を作用電極に用いた二段階フロークーロメトリーにより微量シュウ酸イオンの迅速な定量法を確立した.支持電解質である0.5M硫酸をカラム電極中に流し,10-5~10-1Mのシュウ酸イオンを含む試料溶液を10μl程度注入すると,+1.20V対銀-塩化銀電極に保たれている第1段カラム電極でセリウム,ウランなどの他成分が存在しても還元あるいは酸化されてシュウ酸の定量を妨げなくなる.ついで,+1.60V対銀-塩化銀電極に規制してある第2段カラム電極に試料溶液がはいるとシュウ酸が定量的に酸化され,そのときの電気量よりシュウ酸の量を知る.定量は20秒以内に完了する.本法によってシュウ酸イオンの光に対する安定性を検討し,シュウ酸イオン濃度が希薄な場合あるいは鉄,ウランなどのイオンを含んでいる場合に光分解の影響の大きいことを見いだした.また,シュウ酸以外の有機酸の電解酸化について検討した結果,他の有機酸はシュウ酸より,かなり正電位で酸化されることがわかった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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