抄録
亜硫酸イオンとチオ硫酸イオンを回転白金電極とSCEを対極とする短絡電流滴定法を用いて,両成分の示差滴定で定量する方法を確立した.すなわち,塩化水銀(II)標準液を用い,硝酸カリウムを支持電解質とし,pH7~8でまずチオ硫酸イオンと亜硫酸イオンの合計量を求め,次にもう一方の同じ試料溶液には亜硫酸イオンに対して同モル以上のホルムァルデヒドを添加して,亜硫酸イオンをマスクし,pH7~8に調節しチオ硫酸イオンのみの量を求める.この二つの量の差により.各々を定量する.
その基礎的検討として,支持電解質,試料溶液のpH,温度,マスク剤(ホルムアルデヒド)の必要量,共存塩類などの影響について検討を行った.
本実験によると両成分の混合溶液において,各々イオソのモル濃度が5×10-4M(測定濃度5×10-5M)程度でも±3%の誤差で定量できた.