分析化学
Print ISSN : 0525-1931
24 巻, 12 号
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  • 渡辺 忠一, 柳沢 徳幸, 久保 幸雄
    1975 年 24 巻 12 号 p. 737-741
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    油分溶解ガス分析において,従来のトリチェリの真空を利用した溶解ガスの脱気法とは異なったピストン方式による機械的な脱気・濃縮法を考案した.本法によった溶解ガスの脱気効率は,水素,一酸化炭素について100%,メタン,エタン,エチレン,アセチレン,二酸化炭素については(87~95)%であった.脱気したガスは,ポラパック及びモレキュラーシーブを充てんしたカラムで分離し,定量において,脱気効率のわるい成分については,補正係数を用いた.その精度はサンプリングから定量まで変動係数で(2~6.3)%であった.又,定量法は従来溶解ガスの表示として用いられていた全脱ガス中の各成分濃度でなく,単位油中の各成分濃度として求めた.その結果,定量精度の上昇及びトランスの状態管理が容易になった.
  • 原子吸光分析法による微量医薬品の定量(第8報)
    喜谷 喜徳, 中村 耕治, 稲垣 健治, 小池 久
    1975 年 24 巻 12 号 p. 742-745
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    ベンジルペニシリン(Pcn-G)はトリス(1,10-フェナントロリン)-カドミウム(II){Cd(phen)32+}とイオン会合体を生成し,ニトロベンゼンに抽出される.そこで原子吸光分析法によりカドミウムを定量し,間接的にPen-Gを定量した.定量条件を検討した結果,pH6.0のリン酸緩衝液を用い,Cd(phen)32+濃度をPen-Gの約16倍以上とすることにより,Pen-G(18.6~111.6)μg/mlの範囲で吸光値とPen-Gとの間に直線関係が得られた.
    市販製剤の処方例に従い調剤したPen-Gについて,その繰り返し精度を求めたところ,標準偏差は2.16(相対標準偏差は2.14)であった.従って本法はPen-Gの定量に十分使用できるものと思われる.
  • 前田 昌子, 辻 章夫
    1975 年 24 巻 12 号 p. 745-750
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    アミノ酸はピリジン-メタノール中でピリドキサール及び亜鉛(II)イオンと反応して青白色のけい光(励起極大波長390nm,けい光極大波長470nm)を発する.
    本法は微量の検体で定量可能であり,再現性もよく,更に操作の簡便さ,精度,検出感度も優れており,超微量分析法の要求されている臨床化学の分野での血清中遊離アミノ酸の定量に応用し,簡易かつ鋭敏な方法を確立することができた.又,アミノ酸を遊離する酵素への応用として,カルボキシペプチダーゼB及びアシラーゼIの活性測定について検討した.
    極めて微量の試料で精度よく,かつ試液に亜鉛及びメタノールを含むので,特に一般に行われている除たんぱく操作なしに測定可能であり,従来の方法と比較検討し,満足すべき結果を得た.
  • 農薬の残留分析に関する研究(第1報)
    小野 成男, 長谷川 治郎, 柳瀬 利一郎, 杉岡 克己, 遠山 典宏
    1975 年 24 巻 12 号 p. 750-754
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    各種作物中のチオファネートメチル(TM)及び分解物2-メチルベンズイミダゾリルカーバメート(MBC)の残留分析を検討した.その結果,作物中よりメチルアルコールで抽出した後,両者を塩化メチレン-希塩酸-メチルアルコール溶液で液液分配し,TMは閉環反応によりMBCに変え,クリンアップ後,紫外吸光光度法で定量する方法を確立した.閉環反応は定量的でかつ再現性についても満足できる結果を得た.定量は各種作物中の妨害を画一的な方法で排除することを目的としたため,作図法を採用し,補正吸光度を求め,補正吸光度とTM(あるいはMBC)の関係線を求めて検量線を作成した.本法をそ菜,果実,穀類など広範囲の作物の残留分析に適用した場合,いずれの作物についても実用性のある検出限界及び添加回収率の結果が得られた.
  • 坪内 正弘, 酒井 忠雄
    1975 年 24 巻 12 号 p. 754-758
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    オニウム系色素を用いるイオン対抽出において,テトラフェニルホウ酸イオンが共存すると複雑な誤差を与えることが分かった.この原因について,キノリニウム型の色素であるピナシアノールを用いて調べた.ピナシアノール陽イオンよりもテトラフェニルホウ酸イオンの濃度が低い場合には,この両者はイオン対をつくって短時間で抽出される.ところが,テトラフェニルホウ酸イオンの濃度が高くなると,たとえ過塩素酸イオンが共存しても,ピナシアノール陽イオンは短時間では抽出されなくなる.すなわち,テトラフェニルホウ酸イオンの増大とともに抽出平衡に達するまでの時間が長くなる.これは水溶液中でピナシアノール陽イオンとテトラフェニルホウ酸イオンが,1:3のモル比からなる弱い会合錯体を形成しているためであろうと推定される.
  • 和田 弘子, 中川 元吉
    1975 年 24 巻 12 号 p. 758-761
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    4-(2-チアゾリルアゾ)-2-メチルレゾルシン(TAR-2Me),4-(2-チアゾリルアゾ)-5-メチルレゾルシン(TAO)及び4-(2-チアゾリルアゾ)-6-エチルレゾルシン(TAR-6Et)を合成し,酸解離定数,各種金属イオンとの反応性,銅キレート生成定数などについて検討した.
    TAR-2Me,TAR-6Etは多くの金属イオンと反応し,TARと同様の性質を示す.銅のキレート滴定の指示薬としてTARと同様優れている.TAOは金属イオンとの反応性が小さく,銅,水銀,パラジウム以外の金属イオンと定量的に反応するpH範囲は比較的狭い.
  • 定電位クーロメトリーの自動記録液体クロマトグラフィーへの応用(第7報)
    高田 芳矩, 有川 喜次郎
    1975 年 24 巻 12 号 p. 762-767
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    クーロメトリー検出器を応用して希土類元素の迅速イオン交換クロマトグラフィーの研究を行った.希土類元素の溶離は溶離液のpHに著しく左右され,迅速分離にはpH傾斜溶離が有効であることを認め,乳酸系を溶離液として用いるときの溶離条件を検討した.その結果,0.5M乳酸系溶離液を使用する場合には溶離開始pH3.4がよく,溶離液中に塩化ナトリウムを添加すると溶離が促進されるが,その挙動は他の重金属の場合と多少異なる.一方,カラム温度は高いほど分離度が向上するが,イットリウムとジスプロシウムの分離は架橋度の高い樹脂を用いることで改善される.又,粒径(8~11)μmの樹脂を使用すれば,スカンジウムとイットリウムを含む希土類16成分を80分以内に相互分離できることなども明らかになった.
  • 山崎 澄男, 大浦 博樹, 中森 一誠
    1975 年 24 巻 12 号 p. 767-771
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    亜硫酸イオンとチオ硫酸イオンを回転白金電極とSCEを対極とする短絡電流滴定法を用いて,両成分の示差滴定で定量する方法を確立した.すなわち,塩化水銀(II)標準液を用い,硝酸カリウムを支持電解質とし,pH7~8でまずチオ硫酸イオンと亜硫酸イオンの合計量を求め,次にもう一方の同じ試料溶液には亜硫酸イオンに対して同モル以上のホルムァルデヒドを添加して,亜硫酸イオンをマスクし,pH7~8に調節しチオ硫酸イオンのみの量を求める.この二つの量の差により.各々を定量する.
    その基礎的検討として,支持電解質,試料溶液のpH,温度,マスク剤(ホルムアルデヒド)の必要量,共存塩類などの影響について検討を行った.
    本実験によると両成分の混合溶液において,各々イオソのモル濃度が5×10-4M(測定濃度5×10-5M)程度でも±3%の誤差で定量できた.
  • イオン選択性電極を用いる選択的ガスクロマトグラフ検出器(第6報)
    小島 次雄, 瀬尾 義光, 佐藤 純一
    1975 年 24 巻 12 号 p. 772-776
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    分離カラムからの流出成分を1×10-5~1×10-3Mの硝酸銀溶液が流れている吸収液中に導入する.メルカプタン類は銀メルカプチドを生成するので,吸収液中の銀イオン濃度は減少する.銀イオンの減少量はメルカプタン量に相当するので,銀・硫黄イオン電極で銀イオン濃度の変化を測定し,逆対数変換回路を経て記録すれば,メルカプタン類の選択的クロマトグラムが得られる.本法の最小検出量はt-ブチルメルカプタンについて1×10-11モルであり,3×10-8モルまで試料注入量とピーク面積との間に直線関係が認められた.メルカプタン類の検出に対する選択性について,メルカプタン以外の硫黄化合物及びその他の化合物について調べたところ,1000以上のよい選択度が得られた.応用例として,ライトナフサ中のメルカプタソの選択的検出が容易にできることを示した.
  • 大野 幸雄, 田中 誠之
    1975 年 24 巻 12 号 p. 776-782
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    GC-MS法によりゼラニウム油の成分検索を行う場合,精油の直接分析では含酸素成分の多くがセスキテルペン類と重複した質量スペクトルを示すため解析を困難にするが,カラムクロマトグラフィーによる脱テルペン処理を行い,GC-MS用試料を調製することにより含酸素成分の検索が容易になることを示した.この方法を種々のゼラニウム油の分析に適用し,ガスクロマトグラムにみられる差異は主としてシトロネロール,ゲラニオールのギ酸及び酢酸エステル,α-テルピネオール,セスキテルペン類に起因することが判明した.更に,輸入ゼラニウム油中の偽和物検索法として応用し,3,5,5-トリメチル-1-ヘキシルアセテート,フェニルエーテル,ジフェニルメタンを分離,同定した.これらは天然ゼラニウム油中には存在しないので偽和物であると考えた.
  • 斉 加実彦, 虻川 成司, 東福 義信
    1975 年 24 巻 12 号 p. 782-787
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    金トラップを使用する加熱気化無炎原子吸光分析法による高純度セレン中の微量水銀の定量方法を作成して,試料の分析に利用した.この方法によって得られた定量値はジチゾン抽出分離-塩化第一スズ還元気化法による定量値と一致した.この方法ではセレン試料を加熱して水銀を気化させ,他方セレンは蒸発させないため,スズ粉を用いた.0.1g試料を2.5gのスズ粉で覆い,アルゴンガスふん囲気中で400℃加熱のとき水銀のみを気化することができた.比較法に用いた還元気化法ではセレンが定量の妨害をするので,あらかじめジチゾン抽出分離法を用いることとした.この場合特に条件選定の必要のあることを認め塩析剤の添加や,抽出回数などについて検討し,適正条件を定めて用いた.前者の方法は還元気化法に比較して操作簡易で分析感度も高く優れていることを確認した.
  • 塚田 勉, 檜山 行雄, 渡辺 訓行, 仁木 栄次
    1975 年 24 巻 12 号 p. 787-791
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    周波数変調によるマージナル発振検出法には,発振器の周波数特性に基因する,望ましくない変調出力成分(オフセット出力)が伴う.小さなNQR信号を検出するときには,このオフセット出力がしばしば妨害となり,増幅器の増幅度を上げることができないことと,周波数掃引につれてベースラインがシフトすることの二つの困難を引き起こす.これらの難点を除くために,周波数変調用の双方向く形波の片側の振幅を固定し,他方の振幅を,オフセット出力信号により自動制御するNQRスペクトロメーターを試作した.このスペクトロメーターは大きな変調レベルでも安定に動作し,通常のマージナル発振検出器では検出の困難な,線幅の広いNQRを示す,1価の銅化合物に対しても,良好なS/Nのシグナルを与える,高感度なものであることが分かった.
  • 三輪 智夫, 豊田 孝義, 水池 敦
    1975 年 24 巻 12 号 p. 792-794
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    To establish the method for preparing glassy carbon electrodes which give reproducible anodic stripping curves and small background currents, the effects of various factors (the kind of glassy carbon, surface roughness, chemical pretreatments, etc.) on the shape of the stripping curves of copper and mercury have been studied. The recommended method is as follows. The surface of a glassy carbon rod (Tokai Electrode Mfg. Co. Grade GC-20, 5mmφ×50mm) is polished with an emery paper (No.5/0) followed by a chromium(III) oxide suspension (ca.0.5μmφ) and covered with epoxy resin adhesive at (6080)°C. Then the rod is sheathed with Teflon. After complete setting, the surface of the electrode is polished with a series of emery papers of increasing fineness (Nos. 0 to 5/0), then with the chromium(III) oxide suspension. The electrode is washed with 7 M aqueous ammonia, ethanolic 5% sodium hydroxide solution, and water, successively, with the aid of ultrasonics. The electrode is held in a supporting electrolyte at+0.8 Vvs. SCE for a definite time, and then rinsed with water.
  • 長谷 行正, 深沢 恵美子, 山尾 正義
    1975 年 24 巻 12 号 p. 794-797
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    Urea-melamine resins are widely used as wood adhesives. The infrared spectral method for the determination of melamine contents in urea-melamine resins was studied. The KBr-tablet method was satisfactory for this purpose, and potassium thiocyanate was most suitable for the internal standard. It was found that the ratio of the optical density at the wavenumber 810cm-1, X (melamine), to the optical density at 2050 cm-1, Y (KSCN), of the spectrum was proportional to the ratio of melamine to KSCN. A calibration curve was constructed for the relation between X/Y and melamine/KSCN by the standard mixtures. The reproducibility and recovery test of this method was examined on the standard samples prepared by different processes. The standard deviation of this method was below 0.5% as melamine content. This method is suitable for routine analysis because of its accuracy, simplicity, and rapidity.
  • 大黒 紘
    1975 年 24 巻 12 号 p. 797-799
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    Antimony in fire retardant polypropyrene could be extracted into boiling HCl (6N) layer from xylene layer containing dispersed sample and antimony content was determined by atomic absorption spectrophotometry. The outline of the extraction method was as follows: 250 mg of sample was taken into a Kjeldahl flask connected with a reflux condenser. 20 ml of xylene was added and heated gently. 30 ml of HCl was then added and the mixture was heated with boiling state for 30 minutes. The HCl layer was filtered through a filter paper to a volumetric flask after cooling. By repeating the extraction with HCl twice, more than 99% of antimony was extracted. The conditions for atomic absorption were : wavelength 2175.8 Å, lamp current 17 mA, burner height 10 mm, air flow-rate 7.0 1/min, acetylene flow-rate 1.5 1/min and entrance slit width 0.1 mm. A linear calibration curve was obtained within the concentration range of 0 to 75 ppm for antimony. No appreciable interference was caused by other elements likely to be present in sample. The coefficient of variation for a sample containing 7.70% Sb2O3 by the present method was 2.30%.
  • 内海 喩, 奥谷 忠雄, 山田 達雄
    1975 年 24 巻 12 号 p. 799-801
    発行日: 1975/12/10
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    Iodine does not react with sodium azide however, the following reaction is catalytically promoted in the presence of micro amounts of sulfut compounds.
    2 NaN3+I2→2 NaI+3 N2
    This catalytic reaction is applied to the photometric determination of trace amounts of thiocyanate ion. One milliliter of an aqueous solution (1×10-3 N in KIO3 and 1×10-2 N in KI) and 0.5ml of the 1 N acetic acid are placed in a glass tube with a glass stopper. After standing this solution for 5min at 25°C, 3ml of the sodium azide solution (20g/100ml) and 5ml of the sample solution containing this cyanate ions are added. Three minutes after the mixing 0.5ml of the 1N potassium iodide solution is added. Then, the absorbance of the solution is measured at 350nm. By this method, the concentration range from 0.005ppm to 0.08ppm of thiocyanate ion in 5ml of the sample solution can be determined accurately. Fe (III), Cu (II), CN- and SO32- interfere with the determination of thiocyanate ion.
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