薄片状や繊維状以外の結晶粉末で,通常の試料支持法では選択配向を起こしやすく,これにより回折線強度の再現性が悪くなる試料として,斜方晶系酸化鉛(II)を用い,数mg以下の場合でも可能な無配向測定試料の作製法を研究した.まず,粉末試料の分散ふりかけ装置を試作した.次いで,無反射試料板にはった粘着テープにガラスやイオン交換樹脂の微粒を一層だけ付着させたものや,アルミニウム製試料ホルダーにはった薄い布に粘着剤を付けたもの,その他の上に,この分散装置を用いて試料をふりかけ付着させ,回折線強度を測定した.その結果,粘着テープに(100~150)メッシュのガラス粒を付着させたものやストッキング用ナイロン製布を用いて,ほぼ無配向で回折線相対強度の再現性も満足できる測定試料を作製できることが分かった.