分析化学
Print ISSN : 0525-1931
水素型陽イオン交換樹脂を用いるリン酸,亜リン酸,次亜リン酸各イオンの電量検出型イオン排除クロマトグラフィー
電量検出型液体クロマトグラフィーに関する研究(第4報)
田中 一彦砂原 広志
著者情報
ジャーナル フリー

1978 年 27 巻 2 号 p. 95-99

詳細
抄録

対応する酸が接近した第1次解離定数(pK1)を有するリン酸,亜リン酸,次亜リン酸各イオンを,水素型陽イオン交換樹脂を用いてイオン排除的に分離するために,カラム温度,溶離液組成(水と有機溶媒及び過塩素酸の混合系)を検討した.
水溶離液を用いた場合,各リン酸イオンはその対応する酸が接近したpK1(約2,18℃)であるため接近したキャパシティー比(k')を示したが,カラム温度の上昇,メタノール,エタノール及びアセトン添加により溶離液の誘電率が低下してpK1が増大する結果,これらリン酸イオンのk'は増大した.各リン酸イオンのk'は0~80%(v/v)のアセトンにおいてその濃度の増大とともに直線的に増大し,同様に(25~80)℃のカラム温度においてその温度の上昇とともに直線的に増大した.
カラム温度50℃,溶離液70%(v/v),アセトン(1ml/min)の分離条件下でこれらリン酸イオンの混合物は完全分離できた.
一方,各リン酸イオンの電解効率は0~80%のアセトン溶離液においてその濃度の増大とともに低下し,その程度は次亜リン酸,亜リン酸,リン酸各イオンの順であった.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry
前の記事 次の記事
feedback
Top