分析化学
Print ISSN : 0525-1931
単環性モノテルペン炭化水素の保持指標
森下 富士夫岡野 輝雄小島 次雄
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1980 年 29 巻 1 号 p. 48-53

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抄録

単環性モノテルペン炭化水素を対象として,有極性及び無極性の両固定相液体での保持指標の差(ΔI)と分子構造の関係を考察した.ΔIの値は2種類のインクリメントを使うことによって予測できることが分かった.一つのインクリメントは二重結合自身によるもので,分子内でのその位置によって値が異なる.他は位置関係によるもので,二重結合間の,あるいは二重結合とメチル基やイソプロピル基の間の位置関係によって決まる.インクリメントの値は六員環を有するC6及びC7の炭化水素と幾つかのモノテルペン炭化水素のΔIの実測値から最小二乗法によって決められた.計算されたΔI値は実測値とよく一致するので,両者を比較することによって,実測値に対して可能な分子構造を推定することができる.テルペン化合物の誘導体の熱分解生成物の同定に本法を適用することを試みた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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