抄録
フローインジェクション法に基づく水圏環境中の化学的酸素要求量(COD)の自動連続計測システムを開発した.1mMの過マンガン酸カリウム溶液及び20%リン酸を含む10%硫酸溶液をプランジャー式ポンプを用いてそれぞれ0.2mlmin-1で別々に送液し,自動切換式サンプリング装置により酸溶液中へ8分ごとに試料を注入,両液を混合する.混合液は100℃の恒温油槽に浸した内径0.5mm,長さ50mのテフロン管中を流して反応させた後,525nmにおける吸光度変化からCODを連続計測する.本システムは,使用する試薬量が少ないため廃液量が少ない,1時間に(7~8)検体を測定可能なため水質の急激な変動にも対応可能,1週間以上の連続運転が可能,200mgl-1までの塩化物イオンは妨害とならないなどの特長を有する.本システムを種々の排水試料のCOD計測,及び大学実験室排水のCOD連続モニタリングに応用して良好な結果を得た.