分析化学
Print ISSN : 0525-1931
ヨウ化アンモニウム融解による酸化スズ(IV),酸化アンチモン(III)及び酸化ビスマス(III)の分解と分析への応用
松本 健西尾 学三崎 ゆかり寺田 喜久雄
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 31 巻 3 号 p. 141-145

詳細
抄録
酸化スズ(IV),酸化アンチモン(III)及び酸化ビスマス(III)の分解法として,ヨウ化アンモニウム融解法の適用を検討し迅速簡便な方法を確立した.すなわちパイレックスガラス製試験管に酸化物試料とヨウ化アンモニウム約2gを入れ,触媒として白金の小片を加えて混合し,冷却管を取り付けた後,バーナーの小さな炎で加熱する.約1分間の加熱で分解は十分であり,スズ(IV),アンチモン(III)及びビスマス(III)はそれぞれのヨウ化物として試料マトリックスから昇華分離し,冷却管中に完全に捕集される.昇華物を2M塩酸で溶解し,溶液中のスズ,アンチモン及びビスマスの量を黒鉛炉原子吸光法で定量する.本法を環境生物試料,鉱石及びたい積物試料中の微量のスズ,アンチモン及びビスマスの定量に応用した.定量値は他の研究者の報告値とよく一致した.
著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry
前の記事 次の記事
feedback
Top