分析化学
Print ISSN : 0525-1931
高温炉原子吸光法におけるアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩の影響
中村 進久保田 正明
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1986 年 35 巻 12 号 p. 961-965

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抄録

高温炉AASにおけるアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩の影響(干渉)を,測定元素の原子化時に共存元素と化学結合していることによる化学干渉か,それ以外の要因によるものかを原子の生成モデル式を用いて区別した.銅と鉄に対して,幾つかのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩で干渉が生じたが,銅に対してはアルカリ金属,アルカリ土類金属が原子化時に硝酸塩,過塩素酸塩として存在すれば,化学干渉が生ずることが分かった.他のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩化物,硫酸塩は,銅と鉄のいずれに対してもほとんど化学干渉を起こさなかった。このことは,アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属そのものが,測定元素と化学結合して干渉を起こしているのではなくアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属がある一定の温度まで保持たている陰イオンにより化学干渉を生じさせていることを示唆している.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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