1986 年 35 巻 12 号 p. 972-976
ICP-AESの高感度化の一つの方法として,タングステンフィラメントの抵抗加熱による試料導入法を検討した.試料蒸発チェンバーの内容積を約1cm3と小さくし,蒸気の導入管は内径1mmのテフロン管を使った.又,トーチは試料導入用の中心管の内径が1.5mmのものを用い,フィラメントの加熱は,0.22Fの大容量コンデンサーの放電を利用して行った.このような方法で,信号ピークの立ち上がり時間は0.1秒程度と早くなり,検出限界は黒鉛蒸発炉を用いるものよりも大幅に向上した.共存元素の影響も調べ,尿中の鉛の定量に応用した.