分析化学
Print ISSN : 0525-1931
過マンガン酸イオンの酸化作用を利用する微量ヘキサチオン酸イオンの吸光光度定量
三浦 恭之立神 光司康 智三
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1987 年 36 巻 7 号 p. 407-411

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抄録

1 molのヘキサチオン酸イオンが4.5 molの過マンガン酸イオンと定量的に反応する条件を見いだした.硫酸酸性溶液中でヘキサチオン酸イオンを一定過剰の過マンガン酸イオンと反応させた後,ヨウ化物イオンを加えると過剰の過マンガン酸イオンに当量のヨウ素が生成する.このヨウ素(三ヨウ化物イオンとして)の吸光度を波長350nmで測定することにより,1.8×10-7~1.1×10-5Mのヘキサチオン酸イオン(試料溶液10ml中に 0.5~31.7μg S6O62-)を定量することができる.ヘキサチオン酸イオンの濃度が増加するに従って吸光度は減少するが,濃度と吸光度の間には良好な直線関係があった.本法は抽出を行わないヘキサチオン酸イオンの吸光光度定量法としては感度が最も高い方法である.5.00×10-2μmolヘキサチオン酸イオンを含む試料溶液10mlずつを用いて11回繰り返し実験を行ったところ,平均値は5.02×10-2μmolで,標準偏差と相対標準偏差は3.2×10-4μmol と0.63%であった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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